坂本工務店:コラムSakamoto Column

    
家づくりノウハウ
    

2026.06.22

耐震等級3でも安心できない?|許容応力度計算だけでは防げないシロアリ被害とは?<前編>

私たち坂本工務店は、広島県福山市を中心に家づくりを行っている地域密着の建築会社です。日々、お客様と向き合う中で感じたことや、よくいただくご相談をもとに、家づくりに役立つ情報をお届けしています。


「耐震等級3だから安心」
「許容応力度計算をしているから地震に強い」

家づくりを検討されている方であれば、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

近年は住宅性能への関心が高まり、地震に強い家づくりを重視する住宅会社も増えています。また、2025年には建築基準法の改正も行われ、住宅の構造安全性に対する考え方はさらに厳しくなりました。

しかし、どれだけ耐震性能を高めた住宅であっても、ある被害を受けることで本来の性能を十分に発揮できなくなる可能性があります。

それが「シロアリ被害」です。

本記事は前後編の前編として、4号特例廃止による住宅業界の変化や耐震等級・許容応力度計算の基本、そして見落とされがちなシロアリ被害の怖さについて解説します。


2025年の4号特例廃止で住宅の構造確認が変わった

20254月、住宅業界では大きな制度改正が行われました。「4号特例」の廃止です。

4号特例とは、木造戸建住宅の確認申請において、一部の構造関係書類の提出を省略できる制度でした。この制度は高度経済成長期に住宅建築が急増したことを背景に、確認申請業務の負担を軽減する目的で設けられたものです。しかし近年は住宅の省エネ化や高性能化が進み、建物の重量も増加しています。

そのため、

・壁量基準の見直し

・柱の小径基準の見直し

・省エネ基準適合の義務化

などが行われることになりました。

また、2階建て住宅や200㎡を超える平屋住宅では、構造や省エネ性能に関する書類提出も必要となり、これまで以上に厳しい審査や検査を受けることになります。

こうした見直しによって、地震に強い住宅が増えていくことは非常に良いことだといえるでしょう。


耐震等級・許容応力度計算とは?

最近では、「全棟耐震等級3」を掲げる住宅会社も増えてきました。

▶耐震等級

耐震等級とは、住宅の耐震性能を表す指標で13までの区分があります。数値が高くなるほど地震への強さも高くなります。

・耐震等級1

建築基準法で定められた最低基準です。

震度6強〜7程度の大地震でも倒壊しないレベルとされています。

・耐震等級2

耐震等級11.25倍の耐震性能を持つ住宅です。

・耐震等級3

耐震等級11.5倍の耐震性能を持つ住宅です。

消防署や警察署など、防災拠点レベルの耐震性に近い基準とされています。

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▶許容応力度計算

耐震等級と並んで近年よく耳にするのが「許容応力度計算」です。

許容応力度計算とは、

・建物の重さ

・地震力

・風圧力

などを考慮しながら、

・柱

・梁

・接合部

にどれくらいの力がかかるのかを細かく計算する方法です。

建築基準法や品確法に基づき、多くの項目を検証しながら安全性を確認します。一般的な木造2階建て住宅でも、計算書は350ページを超えることが珍しくありません。それだけ詳細な検討を行うため、高い安全性が期待できる計算方法といえるでしょう。


それでも安心できない理由がある

耐震等級3。そして許容応力度計算。

ここまで聞くと、「もう十分安心ではないか」と思われるかもしれません。

しかし、実は大きな落とし穴があります。それがシロアリ被害です。

どれだけ耐震性能を高めたとしても、建物を支える土台や柱がシロアリによって食害されてしまえば、本来の耐震性能を維持することはできません。耐震性能は、健全な構造材があって初めて成り立つものだからです。

つまり、地震対策とシロアリ対策は別々に考えるのではなく、どちらも住宅の安全性を支える重要な要素として考える必要があります。


シロアリは見えない場所から住宅を蝕む

シロアリというと「木を食べる虫」というイメージを持たれている方が多いと思います。しかし実際には、生きたシロアリを見たことがある方は少ないのではないでしょうか。

その理由は、シロアリが光や風、乾燥を嫌い、人目につかない場所で活動するからです。

多くの場合、シロアリは地中を移動しながら住宅へ侵入します。そのため被害に気づいたときには、すでに食害が進行しているケースも少なくありません。

日本には22種類のシロアリが生息しており、北海道北部を除くほぼ全国で確認されています。

その中でも住宅に大きな被害を与える代表的な種類として、

・ヤマトシロアリ

・イエシロアリ

・アメリカカンザイシロアリ

・ダイコクシロアリ

などが知られています。


シロアリの加害力は想像以上

シロアリは非常に加害力の強い昆虫です。木材だけを食べる虫と思われがちですが、実際にはさまざまなものに被害を与えることがあります。

実際には、

・枕木や杭

・生きた植物

・農作物

などはもちろん、

・コンクリート

・レンガ

・繊維

・皮革

・プラスチック

さらには薄い金属にまで被害を及ぼすことがあります。

それほどまでに加害力が強く、住宅にとって脅威となる昆虫だからこそ、「ヒノキだから大丈夫」「高耐久樹種だから安心」とは言い切れないのです。

シロアリ対策は、使用する樹種だけでなく建物全体で考える必要があります。

シロアリの大きさ(体長)ってどれくらい?種類や階級別の大きさ一覧を紹介 - シロアリ駆除のアリプロ


シロアリ被害が進むと建物はどうなるのか

シロアリ被害の多くは、地中から侵入して土台や柱を食害するところから始まります。

恐ろしいのは、外から見ただけでは被害が分かりにくいことです。一見すると問題がないように見えても、内部では木材がスカスカになっているケースがあります。

実際に被害を受けた柱の断面を見ると、中が空洞のようになっていることも珍しくありません。こうなると建物を支える力は大幅に低下してしまいます。

さらに被害が進行すると、柱だけでなく梁や小屋組まで食害が広がり、柱が宙に浮くといった深刻な状態になることもあります。

そこまで進行すると、地震や台風の際に倒壊する危険性も高まります。


耐震性能だけでは家は守れない

もちろん、耐震等級3や許容応力度計算は非常に重要です。

しかし、それだけで住宅の安全が保証されるわけではありません。

シロアリによって土台や柱が損傷すると、

・耐震性能の低下
・建物寿命の短縮
・資産価値の低下

につながります。

被害が進行すれば修繕費用が発生するだけでなく、将来的な売却時にもマイナス要因となる可能性があります。どれだけ優れた構造計算を行った住宅でも、構造材そのものが傷んでしまえば本来の性能を発揮することはできません。

だからこそ、家づくりでは耐震性能だけでなく、防蟻対策についてもしっかり考えておくことが重要なのです。


まとめ

2025年の4号特例廃止によって、住宅の構造安全性に対する基準はこれまで以上に厳しくなりました。

耐震等級3や許容応力度計算による家づくりも広がり、地震に強い住宅は確実に増えています。

しかし、どれだけ高い耐震性能を備えた住宅でも、それを支える土台や柱がシロアリ被害を受けてしまえば、本来の性能を維持することはできません。

つまり、本当に長く安心して暮らせる家を考えるなら、耐震性能だけでなく防蟻対策まで含めて考えることが重要なのです。

後編では、長期優良住宅における防蟻基準や防蟻処理の種類、近年注目されているホウ酸処理について詳しく解説します。


こちらの内容はYouTubeでもご紹介しています。
【高性能住宅の盲点】耐震等級3/許容応力度計算では足りない?倒壊を防ぐための正しい対策とは!
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